夜伽の小壜

夜伽の小壜

少年と少女、人間と異形、現実と幻想。それぞれの出会いと別れを集めた五編のお話がはいっています。 『青いすみか』 ルミは青いものが大好きな女の子。あるとき隣に越してきた男の子と仲良くなるのですが、それと同じころに、お気に入りのリボンや、お母さんのマニキュアがなくなってしまい・・・。 『ブーゲンビリアのひとしずく』 こずえは花の配達の途中に、夏の匂いが漂う路地を見つけます。誰かの声に導かれ石壁をくぐり抜けると、そこは、植物が生い茂るあたたかな国の入り口だったのです。 『夜伽の小壜』 不眠症のとおるは、真夜中の河原で露店が開かれているのを見つけ、不眠に効くという不思議な点眼薬を買います。早速使って眠りにつきますと、次第にある少女の夢ばかり見るようになってしまい・・・。 『うみくらげ行き』 洋市は「うみくらげ行き」と書かれた貝殻の定期を拾いました。落とした少女の行方を追っているうちに、いつの間にか海の街へと誘われてゆくのでした。 『眠り姫を連れて』 屋根裏で少年は美しい人形に出会いました。ある夜、彼女に口づけを施しますと、動かなかった少女の人形はまばたきをして・・・。

著作:青木夕海 / イラスト:萩原ぎんいろ

詳細情報

ページ数

114

文字数

49,777

ジャンル

ファンタジー

カテゴリ

一般文芸

タグ

女性向け

男主人公

女主人公

短編

ボーイミーツガール

悲恋

しみじみ

切ない

異世界

発行日
2020年10月10日

カスタマーレビュー

レビュアー:Rinko
2020年10月28日
夢と現(うつつ)の境界線にいるような温かく切ない短編集

『夜伽の小壜』では、各話の主人公が非日常な世界の住人と交流するお話が描かれている。

「齧ると口の中で溶ける花の水晶や」、「脱皮するごとに色が深まる青い石」などは確かにそれが非日常であることを示しているが、世界の描写がリアリスティックで、どこか子どもの頃に見た夢を訪れたような懐かしさも感じる。

まさに冒頭の海と空を隔てる「水平線を切りとってくっつけたリボン」のように、夢と現(うつつ)の境界線にいるような不思議な感覚。 お話に出て来た王子様や、露天商、海に棲む少女は、今でも私たちの訪問を待っているのかもしれない。

優しくそっと語りかけるような文体で、温かくて切ない余韻を味わうことができる。