七十二歳の誕生日。サバルはちっとも陽気な気分じゃなかった。彼には、なにもなかった。人生でなにもしなかった。 サバルおじさんは居間の椅子に座って、過去を思い出す。 かわいらしい金髪の巻き毛、日曜の昼下がり、遊歩道。
『僕は知りたい。疑問をこのままにしておくなんて、できない。僕は、知りたい!』(本文より)
作者であるモーパッサンは四十三歳で亡くなるまで、生涯独身を貫いた。 その作者が描く「後悔」とは?