この恋は、呪縛だった。
この恋は、呪縛だった。
それは、忘れられない初恋。 幼い日に抱いた恋心。彼女の結婚式で、初めての失恋。 それから十数年が経ち、教師になった私は、いまだやぶれたその恋に心を縛られていた。 そして、そんな私がある春に出会った少女は、愛おしい彼女の愛娘だった── 女性と少女の少し歪な関係を描く短編です。 百合。 スマートフォンで読みやすい形になるように、本文は新書サイズとしました。
詳細情報
- ページ数
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56
- 文字数
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16,330
- ジャンル
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恋愛
- カテゴリ
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一般文芸
- タグ
-
女主人公
短編
切ない
- 発行日
- 2020年08月04日
カスタマーレビュー
- 彼女は、まるで恋したあの人の生き写しだった。
叶わない恋に絶望し、その想いを引きずった主人公が出会ったのは、その彼女の実の娘。
そんな皮肉な巡り合わせから、物語は始まる。
教職である月子と、初恋の面影を持つ教え子、美花。
美花が寄せる無邪気な好意に、月子は戸惑い、それでも惹かれてしまう。
その月子の葛藤が分かってしまう程、美花は可愛らしく、小悪魔のように誘うのだ。
しかも、何気なく月子のために言い訳を用意しながら、迫ってくるのだ。
月子もまたその言い訳に甘えて、だんだんと自分の想いに正直になっていく。
教職という鎖。同性愛という鎖。初恋相手の娘という鎖。
無数の「呪縛」の中で揺れる、月子と美花の物語。
読めば読むほど、狂おしくもどかしい。ぜひ、この「呪縛」を味わっていただきたい。
- 【公式レビュー】密やかで優しい、でも少しだけ陰がある恋のお話。
※本レビューは2019年9月に実施いたしましたクラウドファンディングのリターンによるレビューとなります。
全体を通してとても読みやすい文章で、読み始めてすぐに情景がすんなりと頭に浮かび、心地良く拝読することができました。
主人公・月子の戸惑いや、どうしても惹かれてしまう恋心、叶わなかった初恋相手の身代わりにしているという苦悩――シンプルな言葉選びで、とてもストレートに彼女の気持ちが伝わってきました。心の移り変わりも非常に自然で、月子と一緒に美花の言動にドキッとなっていました。
美花ちゃん、女の子だけどイケメン。月子のほうが十歳以上も年上なのに大人びいていて、高校生らしからぬ包容力に魅せられました。物語は主に月子視点で描かれていますが、一度最後まで読んでから、もう一度読み返してみると、美花ちゃんの年齢には不釣り合いな包容力の理由がよく分かります。
ラストのオチ、とても好きです。
そしてタイトルに含まれた意味合いが、ひとつだけではないことにも好感を覚えました。ひとつの事にいくつも意味合いを重ねているのが分かると、すごく楽しくてワクワクしてきます。
きっとこの歪さは完全には消えないだろうけども、だからこそ彼女たちの関係や想いが、美しく優しく見えました。
ジャンルとしてはいわゆる百合ものですが、百合に慣れていない方にとっても読みやすくて共感を覚える物語となっていると思います。気軽に読める長さも魅力的です。
疲れて帰ってきた時や、ふと寂しさを覚えた時に読まれると、素直な文章とストーリーが心をほんのりと癒してくれると思います。
少しでも気になった方にはぜひ読んでもらいたいです!